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2024.01.15NEWS

#食品産業新聞 #不二製油 #PBF #プラントベースフード
#GOODNOON #グッドヌーン

「GOODNOON」注力
新ビジネスへ取り組み加速

不二製油
代表取締役社長 大森 達司氏

不二製油 代表取締役社長 大森 達司氏

  • 23年を振り返って

    新型コロナが5月に5類に移行後、国内の旅行需要とインバウンドが急激に回復し、土産菓子向けの原材料の販売がほぼ19年レベルまで戻ってきている。一方日常では、食品に対する倹約志向が継続している。当社の顧客である流通菓子などの食品メーカーは原材料高などを背景に価格改定や個数や量を減らす量目変更をせざるを得ない状況になっており、当社の販売数量も減少傾向にある。当社の業績は、コロナ禍と原材料高騰などの影響を受け、20年度からの3年間は厳しかった。理解を得ながら価格改定を進めたことなども奏功し、上記の利益は前年を上回った。

  • 今期(24年3月期)の新たな取り組み

    風味基材事業開発部という新しい組織を立ち上げた。植物性素材で動物性食品ならではのおいしさや満足感を実現する「MIRACORE(ミラコア)」技術を活用した植物性ダシ製品(ミラダシ)などを展開し、新たなビジネスへの取り組みを加速させたい。
    また、製菓・製パン材料のECサイトを運営するcotta(以下、コッタ)と共同でPBF(プラントベースフード)を中心としたECメディア「cotta tomorrow」を立ち上げた。
    5月に開催された「G7広島サミット」では、力の源ホールディングスとともに、国際メディアセンター内プレゼンテーションコーナーで海外のメディア関係者へ、ミラコア技術を使った一風堂の「プラントベースラーメン」を提供した。私もサーブしたが、すごい行列だった。「おいしい」とスープを飲み干してもらえたため、廃棄が出なかった。非常に手応えを感じた。
    ある調査会社の予測では、30年に日本のPBF市場が1900億円に達し、うち1150億円が業務用だという。まず業務用が伸びるという予測は、日本ではインバウンド向けが先行しているという私の肌感覚とも合う。ミラコアのプレゼンも、海外の方が多く訪れる観光地のホテルなどで、PBFメニューを揃える必要性を感じているところが多い。人手不足の中で、たとえば日本食として人気のカレーなどのメニューを簡便に提供したいというニーズが強く、当社製品の完成度を上げて提供できるよう組み立て直している。

  • どのように完成度を上げるのか

    不二製油のミラコアやPBF素材を用いて、顧客が簡単に使用できる製品をグループ会社との連携を通して製造・販売していく。

  • そのほかの挑戦領域の取り組みは

    今期に新設したデジタル販売課を通してデジタル販売を強化している。PBFを中心に発信し、外食や中食などの新規顧客を増やしていく。コッタや当社の通販サイト「ソヤファームクラブ」も活用する。PBF製品の使用シーンや機能性などを分かりやすく情報発信し、潜在顧客へのリーチを拡げていく。興味を持ってくれる企業と接点をつくり、それぞれの流通を通して販売につなげるイメージだ。

  • 各事業の重点課題を

    植物性油脂では、パーム油のサステナブル原料調達に力を入れている。グループ全体で調達するパーム油のうちRSPO認証油が占める割合は約58%(22年)に増加した。不二製油単体でも割合が増えてきた。即席麺やスナック菓子などで先行している。
    東京オリンピック開催時に食品や食材に関する調達コードが設けられ、その中ではパーム油についても認証油を調達するなどの指針が設けられた。25年大阪・関西万博でも調達コードがある場合、東京オリンピックと同様に、万博を機にさらに増えるのではないか。
    強みのチョコレート用油脂にも引き続き注力する。カカオが46年ぶりの高値をつけ、為替の円安も加わり、カカオバター代替用油脂は順調に推移すると見ている。
    一方で、これらの原料事情から調達コストが高騰し、砂糖も高い。そのため、業務用チョコレートは非常に厳しい。チョコレートは年明け以降も価格改定せざるを得ない状況にあり、需要減を懸念している。
    このことから高付加価値製品の開発も並行して進めており、乳原料不使用のチョコレート(ミルク風味、ホワイト)を販売した。引き合いも頂いている。サステナブル調達では、独自のカカオ豆購入による生産地支援プログラム「サステナブル・オリジン」を展開しており、チョコレート製品に「サステナブル・オリジン」のマークをつけて訴求する活動を広げたい。
    これを適用したチョコレート「カカオクオリー」も販売している。JAPAN QUALITYのコンセプトの下、より品質にこだわって作っている。円安で輸入チョコレートの価格が上がっていることも追い風となり、引き合いが増えている。発売したばかりのホワイトチョコレートも、すっきりしたミルク感が好評だ。
    乳化・発酵素材では、PBFのフラッグシップである「GOODNOON(グッドヌーン)」の代表商品の一つである豆乳クリームバター「ソイレブール」シリーズが引き続き順調に推移している。今期はシートタイプの「ソイレブールシート」を発売した。コンビニエンスストアのパン用途にも採用された。当社独自のUSS製法と植物性油脂の技術が融合して生まれた全く新しい大豆由来のバターで、バターでもマーガリンでもない独自の世界を作っている。
    また、冷凍パンのおいしさを保つ機能性マーガリン「グランモイスト」も好調だ。人手不足に貢献できる製品であり、引き続き提案に注力する。
    大豆たんぱく素材のうち、大豆ミートは17年から市場が伸び続けていたのが昨年は減少した。まだ底を打ったとは言えないが、22年に上市したプライムソイの拡販により引き続き伸ばしていきたい。

  • 今後の展望を

    22年に実施したPBF戦略説明会で、30年に挑戦領域で1000億円を目指し、GOODNOON製品群を中心に実現していくと話した。先に述べた日本のPBF市場予測とも整合性がとれているように思う。新たにオープンした麻布台ヒルズにもインドネシアのビーガン料理店が出店している。海外の富裕層向けの高級ホテルもどんどんできているが、ビーガンメニューなどは必ず品揃えしていかなければならない。
    日本食として人気のラーメンとカレーにも当社製品が採用されるように注力していきたい。

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